レトロフィットにより、航空宇宙産業で60年間使用されてきたアクチュエータを交換
ロトルクの名を背負った初期バルブアクチュエータの一部は、航空宇宙産業の過酷且つ重要な用途で60年間絶えず使用されてきましたが、ロトルクの最新型インテリジェントアクチュエータIQ3に交換されつつあります。
1953年以降、ロトルクのモデル100Aアクチュエータは、契約の一環として、世界初の大型超音速風洞でバルブを操作していました。遷音速風洞は、当時ベッドフォードに新規設立されたAircraft Research Association(航空機研究協会)によって、設計・建設されたものであり、超音速が航空機の新しい設計に与える影響を試験し、英国の航空業界を技術の最先端に立たせ続けることを目的として打ち上げた意欲的プロジェクトです。同設備は、25,000hpのACモータと13,000hpのDCモータにより、作動しています。さらに、高い遷音波且つ最高1.4マッハ (約1065mph )の超音速で試験できるように、10,000hpのコンプレッサを使用して動力を追加供給しました。
1950年代初頭は、ロトルクはまだ揺籃期にあり、このような重要で名高い契約を獲得したことは、世界トップのバルブアクチュエータ及びフロー制御製品メーカーとして確立されるまでの大きな道しるべとなりました。この遷音速風洞は、1956年に初めて試運転が行われて以降、実質的に毎日、絶えず稼働しており、世界中の軍用機及び民間航空機の試験が行われてきました。また、この遷音速風洞は、TSR2、ハリアー、コンコルド等の歴史に残るプロジェクトの開発において非常に重要な役割を果たしてきました。現在では、この役割は、エアバス、ユーロファイタータイフーン、ロックヒード・マーティンF-35 JSF等の計画により、継続しています。
注目すべきことに、ロトルクの100Aアクチュエータは遮断バルブ向けに設計されたものですが、風速レベルを制御し、試験結果の正確な評価のために必要なデータを提供するために、継続して大型ゲート弁の位置を小刻みに変更するといった変調を60年間も行ってきました。この作業こそが、モドバス制御ネットワークを内蔵した専用の制御システムによるプロセスの自動化ですが、これには、これらユニットを、変調に特化して設計された新型のIQ3Mアクチュエータに交換する必要がありました。
絶えず、この風洞の使用要求があるため、レトロフィット作業が、各試験プログラムごとの実施間隔のような短時間で正常に完了するように、慎重で詳細な計画を立てる必要がありました。バルブ周辺は立ち入りが制限されているため、特別な注意が必要です。 最初のアクチュエータ2台を取り外してIQ3Mアクチュエータに交換し、2日後に試運転調整を行ったときに、詳細な計画が効果を発揮しました。以前の半分の時間で、風洞を再稼働させることができたのです。
Aircraft Research Association(航空機研究協会)の上級プロセスエンジニアであるRichard Harvey氏は、ロトルクが本プロジェクトの成功に貢献したことについて、次のように称賛しています。
「当協会では、現在、150万ポンドをかけて、我々の遷音波風洞を制御する設備の更新を行っています。現在行っている一連の作業の1つに、補助コンプレッサバルブ駆動ユニットを交換する作業があります。これらユニットは、現場設備の中で最も古い部分であり、日常的に使用されているため、我々は、これらを選択致しました。既設のロトルク100Aアクチュエータは、定格仕様の範囲を超えて使用されていることを考えると、非常によく機能していましたが、60年も使用しているため、交換の時期を迎えています。
「交換後のバルブ駆動装置は、非常に信頼性が高く、正確な位置表示ができるものでなければなりません。というのも、バルブ駆動装置は、風洞の稼働に、そして我々が収集したデータにとっても非常に重要だからです。我々から、仕様を明示して、ロトルクにアプローチしたところ、ロトルクから新型のIQ3M35のご案内がありました。私は、モドバスインターフェースカードを利用して得られる膨大な量の情報と精密な制御に非常に満足しました。同アクチュエータの設置は正常に完了し、風洞駆動装置経由で、新設のアクチュエータにより、以前より遥かに正確な制御が実現していることを知りました。我々は、次回のメンテナンスで残りのアクチュエータも交換する予定ですが、現在、その時期について検討しています。」